寸評・「千里眼の女」(その2)
学問としては相当に際物である超能力研究に取り組む
福来はおそらく浮いていただろうし、孤独でもあった
と思う。
透視能力によって離縁され、周囲の理解を得られない
千鶴子と、共鳴もしたのだろう。
それでも運命はかみ合わず、2人はすれ違う。
結局千鶴子は命を絶ち、福来の研究は否定され、帝大
から切り捨てられてしまった。
初めはスクープ狙いだった橘は総長の山川を非難する。
山川はその非難を受け止めるが、決定を覆すことは
なかった。
なかなかに、救いどころのない話である。
皆が古めかしく喋る上に方言も頻出するので、途中で
ついていけなくなる人もいたようだった(近くの席の
人は意識飛んでたな……)。
個人的には面白かったけどね。
役者さんは時代の雰囲気出してたし。
(いや、見たことないけどさ、明治末なんて)
正直、登場人物には感情移入しにくいが、列強に
追いつけ追い越せとばかりに無理を重ねていた当時の
日本の哀しさには胸痛む。
ただ、長い芝居なのに突っ込んだところは描かれ
なかったなぁとは思った。
千鶴子と福来の仲にせよ、福来の学界での位置にせよ、
橘の心の変化にせよ、描かれてないわけではないけど、
割とさらっと終わってしまったというか。
ちょっと残念。
科学が万能だとは思わないし、発見がいつも進歩に
結びつく訳でもないだろう。
でも、説明出来ない=存在しない、と切り捨てるのも、
またつまらないことのように思う。
千里眼がいたっていいじゃんねぇ。
劇団青年座197回公演『千里眼の女』
10/10~10/18/09
紀伊国屋ホール






