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2008年10月 3日 (金)

「東京原子核クラブ」@俳優座を見た(その2)。

物語の肝は、やはり原爆投下への反応なのだろうと思う。

友田たちの研究は、欧米と遜色ないものだった。
だが、両者の環境は全く違う。
アメリカなら電話1本ですぐ手に入るものが、日本では
半年もかかってしまう。その間に両者の差が更に広がる。
そして日本人研究者たちは、核兵器製造という分野で、
圧倒的に豊かなアメリカに「敗れる」のだ。
広島長崎のことを知って友田がまず考えたのは、
「核兵器製造がついに成功した」という感動、そして
「アメリカに先を越された」ことへの悔しさであって、
多くの人の命が失われたことに気づいたのはその後
だったという。
なぜなら、彼は「科学者」だから。

科学者でない人間にはなかなか共感しにくいし、
多くの日本人の間で共有される「広島長崎観」とは
相容れない発言でもある。
……でも、まぁ、本音だろうな。

多分、当事者であれば似たようなことを考えるんだろう
とは思う。
だからこそ、科学は人を幸せにしないんだろうなとも。
真理を追究すれば真理が見えてくる(こともある)。
でも真理は真理だってだけで、それ自体には価値がない
んだろう、きっと。

戦争が終わりましたハッピーエンド、とならない点、
鳴らなくなったピアノや妙な生け花とかの小道具が
いちいち利いているところもいい。
気持ちよく見終わって、でも、ちょっと引っかかると
いうか、立ち止まって考える気にさせられる芝居だと
思う。

細かいことをいえば、いくら何でも嘘つくのに
エチオピア文学はないだろう、とか、本当は理研に
入りたかったという下宿の娘の桐子がフツーに下宿人の
面倒を見てる若い女性で、「女だから研究者に
なれなかった」風にはあんまり見えなかった、とか、
多少はあるわけだが。

でも、いい作品だったと思う。

ハヤカワ演劇文庫から出ている脚本には作者の
注というか独り言がこちゃこちゃ書かれていて、
いいよ言い訳しなくても、と思いながらも、これまた
楽しく読めます。

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